20・30代の不動産投資、最大の武器は資金力より「時間」——早く始めるほど有利な理由
「不動産投資は資金に余裕のある人がするもの」——そう思っていないだろうか。実際には20代・30代の間で不動産投資への関心が高まっており、その最大の理由は資金力ではなく「長期のローンを組める時間」にある。老後不安やインフレへの危機感から若い世代の投資熱は高まる一方、東京都区部のマンション価格は上昇を続け、優位性は今後も続くと見られている。本稿では若年層の不動産投資が増えている背景とメリット、マンション価格の推移データ、そして投資を無理なく継続するための家計管理術までを紹介する。
なぜ20代・30代で不動産投資が増えているのか
2019年に金融庁が発表した「老後2,000万円問題」が話題になりましたが、あれから7年が経過し、一部メディアなどでは「老後4,000万円問題」とも言われ始めています。
近年ではインフレや年金不安が続き、将来の生活を自己責任で安心して過ごすために、若い世代でも「投資」を始める金融リテラシーの高い方が増えています。
様々な投資・金融商品がある中でとりわけ人気の高いNISAやiDeCoなどを始める方も多くなってきましたが、次のステップとして不動産投資を検討している、もしくは始めた方がとても増えてきています。

参照:株式会社インヴァランス「不動産投資に関する消費者意識・行動調査」
㈱インヴァランスの調べによると、不動産投資に良い印象を持つ方の割合が20代女性が51.5%と最も多く、次いで20代男性が47.5%と20代の方が多くなっています。さらに女性30代、男性30代が続いており、若い世代が比較的多い事が特徴です。実際筆者が講演するセミナーでも20代の女性がとても増えたという印象があります。
こうした背景として、SNSなどを通じて不動産投資が身近な存在になりつつある事が挙げられます。その中で不動産投資に対する全体的なスキームやリスクに対する対応策などの周知が進んでいる事も後押ししています。
日本の財政赤字は年々その規模が大きくなり、将来の年金政策も徐々に縮小する可能性もあります。こうした情勢に加え、将来もらえる年金額の減少や退職金制度のない企業の増加、さらには長引く物価上昇といった現実に直面し、若い世代ほど「老後の経済・生活への強い危機感」を抱くようになっています。健康寿命が延びて「定年後の人生」が長期化しているからこそ、早い段階から自助努力で資産を形成し、増やす必要性に気づいているのかもしれません。
若いうちに不動産投資を始める最大のメリットとは?「時間」を味方にする理由
では次に20代・30代などの若い世代が不動産投資を始めた場合のメリットについて見てみたいと思います。
まず不動産投資は提携ローンなどを組んで購入する方が多いので、早く始めればそれだけ長期のローンを組める事がメリットとなります。返済期間を長くする事で月々のローン返済額を低く抑える事ができ、無理なく不動産投資を続ける事ができます。
また不動産投資のローンを早く組めばそれだけ完済も早くなります。複数戸所有し、早期リタイヤして資産収入で暮らす「FIRE」も可能となるのではないでしょうか。
株価が大きく上昇し経済が発展する中で、人手不足が大きな問題となっており、若手の給与水準は過去に例を見ないほど上昇してきています。こうした余剰資金を投資に回せる事もメリットです。
若い時は健康な方も多いのではないでしょうか。不動産投資ローンを組むには一定の年収や勤続年数などの他、「健康である」事が条件となります。つまり不動産投資ローンを組める時期というのは、人生の限られた時期しかないとも言えます。
さらにローンに付随する「団体信用生命保険(団信)」で、死亡や疾病の場合などには支払いが免除されます(詳しくはローンや保険などの条件によって異なります)。近年では生活習慣病も含めて若い方の病気も増えているようです。比較的若い年代で団信に加入する事により、より安心度が高まる訳です。
このように若い世代で不動産投資をスタートする事のメリットは多くある事が分かります。
東京の不動産投資、優位性は今後も続くのか?価格推移データで見る
皆さんが購入した投資マンションの資産価値はどう変わってきて、今後どうなるのでしょうか。ニュースでも盛んに報道されていますが、東京都区部のファミリーマンション価格が大きく上昇してきています。1億円を超える物件も多く、都心部では十億円以上の「スーパー億ション」が普通に販売され、そのほとんどが完売しています。さらに筆者のオフィスのある中野でも30㎡クラスで8,000万円前後のマンションも出現しています。
東京都区部 新築ファミリーマンション価格の推移
| 2015年 | 2020年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|
| 平均価格 | 6,723万円 | 7,721万円 | 1億3,613万円 |
参照:不動産経済研究所調べ
特に東京のワンルームマンションは発売戸数も減少し希少性も高くなってきていますので、東京都心周辺の都心へアクセスしやすい立地のマンションも値上がりしています。つまり好立地のマンションを既に所有している方はその資産価値の上昇を享受していると言えます。
マンション価格上昇の要因として、インフレに加えて地価・建築費の上昇や都心の再開発などが挙げられます。今後はマンション価格の上昇エリアがさらに広域化していく可能性があると考えます。
公示地価・東京都区部の地価変動率の推移(商業地)
| 2025年 | 2026年 | |
|---|---|---|
| 地価変動率 | 11.8% | 13.8% |
また今後の不動産市場の動向を見る上で「人口動態」が重要なキーワードとなります。全国で人口減少が著しいエリアが多くある中で、東京都は数少ない人口増加エリアとなっています。その背景には東京の経済力の規模、企業集積と就業人口の増加、特に若い世代の転入超過人口の増加などがあります。
このような背景から東京で不動産投資をする優位性は今後も続くと考えられます。
不動産投資を成功させるために必要な家計管理とは
不動産投資では毎月のローン返済額と家賃収入の差額、いわゆる「持ち出し」がある場合もあります。また空室になったり設備の補修が必要になったりと思わぬ出費がある事もあります。また私生活でも多くの出費が重なる場合もありますので、不動産投資を続けるためには月々の家計もしっかり管理し、資金に余力を残す事が大切です。
不動産投資を健やかに継続するためには、月々の家計を「仕組み化」して管理し、資金に十分な余力を残しておくことが極めて大切です。そのためにおすすめしたいのが、毎月の収入から決まった額を自動的に貯蓄に回す「先取り貯蓄」の仕組み化です 。余った分を貯金するのではなく、最初から「なかったもの」として生活設計を立てることで、ストレスなく確実に資金を蓄えることができます。ここで準備すべきは、いざという時にすぐ引き出せる「流動性の高い貯蓄」です。急な出費や将来のライフイベントへの備えとして手元資金を厚くしておくことは生活に安心をもたらします。
35年ローンなどは完済がとても先の事に感じて、目先の資金不足から投資マンションを早期に売却する方も散見されます。しかしローンを組んですぐに売却するとローンの元金部分はあまり減っておらず、売却損が出る場合もあります。売却して譲渡益が出るというケース以外はローン完済まで所有している事が老後に向けての確実な資産形成と言えます。ローンの返済額の内、元金部分は「貯蓄」にあたり自分の資産となる部分です。不動産投資を続ければ毎月のローン返済で確実に資産を構築できる訳です。
2026年は日経平均株価がかつてない程の上昇となっています。このような背景からNISAやiDeCoなどの投資を始める方も多くなってきています。これからの資産運用で大切な事はリターンの多い投資はそれだけリスクも伴う傾向にありますので、その配分が大切になります。安定した不動産投資を中心に、他の投資を組み合わせる事はリスク分散になります。
不動産投資をしながらでも家計が安定してきたら、さらに投資マンションを2戸・3戸と追加取得する事で資産形成もより確実なものとなります。複数戸持つという事は売却と保有の選択も可能になり、ライフイベントなどで急に資金が必要になった時などに1戸だけ売却する事も可能になります。異なったエリアで複数戸購入すれば地域差によるリスクにも強いと言えます。
若い世代が陥りやすいお金の失敗とは?投資を続けるための注意点
若い方でも給与水準が上がり手取りが多くなると、それに歩調を合わせるように生活が徐々に派手になる方も一定数いらっしゃいます。衣服や車、外食などのレベルを上げたり高額な海外旅行などに行けば支出も多くなり、投資に回す資金も不足してきます。
NISAやiDeCoなどでも毎月の投資額が多すぎると、「NISA貧乏」となる場合もあります。またカードを利用して高額な買い物や飲食を重ねると、気づかない内に利用額が大きくなる事もあります。特にリボ払いは支払額が一定ですが金利が高い事に注意が必要です。筆者の経験では資産を持っている方は割と質素な服装や暮らしをしている事が多いと感じます。
とはいえ生活を切り詰め楽しみや趣味のお金を節約し過ぎると、人生の楽しみも減ってしまいます。無理ない投資をするためには適度な節約をしつつ少額でもコツコツ投資する習慣を身に付けましょう。
不動産投資の最大の味方は「時間」——今始めることの意味
以上述べさせて頂いた通り、不動産投資における最大の味方は「時間」です。実際筆者が不動産投資を始めたのは27歳の時で、年金をもらう歳にする前にローンも完済しました。現金をあまり持っていない当時の筆者の不動産投資の後押ししてくれたのは、「時間」という財産と金融機関から長期で借入ができるという「信用力」でした。さらに「好立地・クオリティの高い建物」の購入とともにそれを支える強固な管理体制が必要です。高い入居率を維持し続ける確かな賃貸管理力や、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した確実な管理体制、そして手厚いアフターサポートで寄り添ってくれる「本当に信頼できるパートナー」の存在がとても大きい訳です。供給実績や管理に信頼の及ぶ不動産会社を選択する事がとても大切であると考えます。
既に不動産投資の第一歩を踏み出した皆様の選択は、今後何十年も経過した後に大きな差となって現れますので、その時に若い時の選択が「正解」であったと気付くのではないでしょうか。
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執筆:野中 清志(のなか きよし)
住宅コンサルタント|株式会社オフィス野中 代表取締役
マンションデベロッパーでの実務経験を経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。 特定の企業に属さない第三者的な立場から、首都圏・関西をはじめ全国各地でマンション購入に関する講演・コンサルティングを行う。
居住用マンションから不動産投資(資産運用)向けセミナーまで、年間100本近い講演をこなす「マンション選びの第一人者」。膨大な供給データと開発現場への深い知見に基づいた、先見性の高い解説に定評がある。