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固定資産税どう払う? 一番お得な支払い方法は

4月から5月にかけて、固定資産税の納付書が自治体から届いた人は多いでしょう。固定資産税は、固定資産を持っているならば避けて通ることはできません。

どうせ支払う税金ならば、少しでもお得に支払いたい! そう思ったら、支払い方法を考えてみましょう。今回は、固定資産税の支払い方法の種類とお得な支払い方法の例を紹介します。

そもそも固定資産税って?

固定資産税は、住宅・マンション・土地・事業用の車両や機械(償却資産)といった固定資産を持っている人が納める税金です。毎年1月1日時点でこれらの資産を持っている人は、固定資産税を納めなくてはなりません。

固定資産税の税率は、持っている固定資産の「固定資産税評価額」の1.4%です(市区町村により異なる場合もあります)。

固定資産税評価額とは、固定資産税の計算に使われる金額のことで、どんな固定資産をどのくらい持っているのかによって変わります。ですから、固定資産税の金額も人それぞれです。

固定資産税は1年間分を年4回に分割して納めるのが一般的。例年、4月から5月に届く納付書を使って納付します。納付期限は自治体によって異なります。東京23区の場合例年6月末・9月末・12月末・2月末が納付期限です(土日などの関係で若干前後します)。

なお、固定資産税は1年分を一括で納めることもできますが、割引などの特典はありません。分割でも一括でも、納める金額は同じです。

固定資産税の支払い手段のおすすめは?

固定資産税の支払い手段には、大きく分けて6種類あります。

1、現金

自治体から届いた納付書を直接銀行・郵便局・コンビニなどに持っていって現金で支払う方法です。その場で領収書がもらえるので、領収書が必要な場合は便利です。手数料もかかりません。ただ、店舗などに直接足を運ぶ必要がありますし、ポイントなどの還元もありません。

2、口座振替

事前に市区町村に申し込んでおけば、指定した預貯金口座から固定資産税を引き落としてくれる口座振替が利用できます。手数料はかかりません。口座に残高があれば自動的に支払えるため支払い忘れもなく手間もかかりませんが、領収書は発行されません。またポイントなどの還元もありません。

3、ペイジー(Pay-easy)

ペイジーは、スマホやパソコン、ATMなどから税金を支払うことができるサービスです。今はスマホでネットバンキングを利用している人も多いでしょう。ペイジーを使えば利用しているネットバンキングから手数料無料で固定資産税を支払えます。ただし、ペイジーでも領収書は発行されず、ポイントなどの還元を受けることはできません。

4、クレジットカード

お手持ちのクレジットカードを利用してネット経由で固定資産税を納めることができます。各自治体が用意している「地方税お支払いサイト」や「F-REGI(エフレジ)」「モバイルレジ」といったアプリを利用して支払いを行います。なお、コンビニなどで固定資産税のクレジットカード納付をすることはできません。

固定資産税をクレジットカードで納付すると、クレジットカードのポイントがたまります。固定資産税は、数万円単位の支出になることが多いでしょうから、その分ポイントも多く貯まります。また、クレジットカードであれば24時間いつでも、自宅にいながらでも固定資産税を納付できるのもメリット。手元にお金がないときにも、先にクレジットカードで納付して、あとからクレジットカードの請求に合わせて支払えばいいので手軽です。

ただし、固定資産税をクレジットカードで支払う場合は、所定の手数料がかかるのがデメリットです。たとえば「地方税お支払いサイト」の場合、納付金額が1万円までだと40円、1万1円〜2万円までなら123円という具合に手数料が発生。以後1万円増えるごとに82円または83円ずつ加算されます(いずれも税込)。この手数料よりもクレジットカードのポイントが多くなるならお得だといえます。

ただ、クレジットカードの中には「税金の支払いだとポイント還元率が下がる」というものも。領収書も発行されないので、注意が必要です。

5、スマホ決済

PayPay、楽天ペイ、au PAYといったスマホ決済アプリを利用して固定資産税の納付書にあるバーコードを読み取ることで固定資産税を支払うことができます。スマホ決済アプリにあらかじめチャージしたお金を支払いに当てたり、スマホ決済アプリに紐づけたクレジットカードで支払いをしたりできます。手数料は無料です。

スマホ決済アプリを利用することでも、スマホ決済アプリのポイントが貯められる場合があります。スマホ決済アプリでの支払い自体には基本的にポイントがつかないのですが、クレジットカードなどでチャージすることで、チャージ分のポイントを得ることができます。

ただ、対応しているクレジットカードの組み合わせが限られていたり、条件が少々複雑だったりするのがデメリット。条件を満たさないとポイントが得られないこともあるため、事前にポイント還元が得られる手順を確認するようにしましょう。

また、今はポイント還元があっても、その後スマホ決済アプリやクレジットカードなどのルール変更によってポイント還元率が減ったり、ポイント還元そのものがなくなったりしていることもあるので、支払いをする前にポイントがつくのか、いつ付与されるのかなどを確認しておくといいでしょう。

なお、スマホ決済でも自宅などどこでも支払いをすることができるのは便利ですが、領収書は発行されません。

6、電子マネー

WAON・nanacoといった電子マネーにチャージしたお金で固定資産税を支払う方法です。各電子マネーが利用できるコンビニに納付書を持っていって支払いを行います。なお、SuicaやPASMOといった交通系電子マネーをお持ちの方もいると思いますが、SuicaやPASMOでは固定資産税の支払いはできません。

電子マネーでの固定資産税の支払いそのものにポイントはつきません。しかし、スマホ決済と同様、電子マネーにクレジットカードでチャージすることでポイントがつきます。そのうえ、手数料もかからず、コンビニの窓口で手続きするので領収書も手に入ります。

ただ、電子マネーのチャージ額の上限は5万円となっています。5万円を超える支払いには利用できない点には注意が必要です。

固定資産税でポイントが貯まる5つの支払い方法

以上6つの支払い方法のうち、お得になる可能性が高いのは、スマホ決済と電子マネーです。どちらも手数料がかからず、ポイントの還元が得られる可能性があるからです。次点でクレジットカードですが、得られるポイントから手数料を差し引いた金額を考えないといけないので、少々手間がかかります。それであれば、スマホ決済や電子マネーを利用したほうがよいでしょう。

ここでは、スマホ決済や電子マネーを利用して具体的にポイントが貯まる支払い方法を紹介します。

なお、以下の支払い方法はあくまで一例です。各社の制度変更などにより利用できなくなる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

●ポイントが貯まる支払い方法:WAON(電子マネー)

WAONを利用すると、ミニストップで固定資産税を支払うことができます。上でも触れましたが、固定資産税の電子マネーでの支払い自体にはポイント還元はありません。しかし、WAONの場合クレジットカードの「イオンカードセレクト」でWAONにオートチャージすることで0.5%のポイント還元が得られます。

  1. イオンカードセレクトでWAONにチャージ
  2. WAONを利用してミニストップで固定資産税の支払い

仮に5万円分チャージして固定資産税を支払ったとすると、250ポイントがもらえます。

●ポイントが貯まる支払い方法:nanaco(電子マネー)

nanacoを利用すると、セブンイレブンで固定資産税を支払うことができます。しくみはWAONと同様で、クレジットカードの「セブンカード・プラス」でnanacoにチャージすることで0.5%のポイント還元が得られます。

  1. セブンカード・プラスでnanacoにチャージ
  2. nanacoを利用してセブンイレブンで固定資産税の支払い

●ポイントが貯まる支払い方法:au PAY(スマホ決済)

スマホ決済のau PAYにチャージするのにおすすめのカードはau PAYカードでは?と思われる方もいるかもしれません。確かに以前は1%のポイント還元があったのですが、今は還元が得られなくなっています(なお、上位カードのau PAYゴールドカードであれば、条件を満たすとau PAYのオートチャージでポイントが貯まります)。

また、Amazon Mastercardや三井住友カード(Mastercardのみ)といった一部のクレジットカードでは、au PAYにチャージすると、1%のポイント還元が得られます。

  1. au PAYに上記クレジットカードでチャージ
  2. au PAYを利用してスマホ決済で固定資産税の支払い

●ポイントが貯まる支払い方法:ファミペイ(スマホ決済)

ファミリマートで展開している「ファミペイ」でも、au PAYと同様の支払い方法でポイントが貯まります。ファミペイには、JCBブランドのクレジットカードでチャージができます。たとえばイオンカードの場合、チャージ金額の0.5%、毎月10日の「AEON CARD Wポイントデー」ならば倍の1%のポイントが貯まります。

同じくファミリーマートの名が入った「ファミマTカード」でももちろんチャージが可能。ただファミマTカードは本稿執筆時点(2025年6月)では新規申し込みができず、8月末をもって終了予定。9月からは「Famima Card」にリニューアルされる予定です。

  1. ファミペイに上記クレジットカードでチャージ
  2. ファミペイを利用してスマホ決済で固定資産税の支払い

しかも、ファミペイの場合請求書払い1件につき固定で10ポイントがもらえるのも嬉しいところです(対象外の請求書あり)。仮に還元率0.5%のクレジットカードで5万円分チャージして固定資産税を支払ったとすると、250ポイント+10ポイント=260ポイントがもらえます。

●ポイントが貯まる支払い方法:楽天ペイ(スマホ決済)

楽天経済圏でおなじみの楽天ペイでは、少々手間がかかりますがポイントをもらえます。

以前は楽天カードから楽天キャッシュへのチャージに対してポイントがついていたのですが、現状はチャージだけではポイントがつきません。また、楽天カードでチャージした楽天キャッシュを利用して楽天ペイで支払うと、通常の買い物であれば1.5%還元(チャージ払い)なのですが、固定資産税の支払いは対象外なので、還元がありません。

しかし、コンビニなどで販売されている「楽天ギフトカード」をクレジットカードなどで購入するとポイントが手に入るケースがあります。

  1. コンビニなどで「楽天ギフトカード」をクレジットカードなどで購入
  2. 楽天ギフトカードで楽天キャッシュにチャージ
  3. 楽天キャッシュを利用して楽天ペイで固定資産税を支払う

*1、の部分のポイントが貯まります。

一番お得な支払い方法は人により異なる

このなかで一番お得な支払い方法は、人により異なります。

もしもすでにお使いの電子マネーやスマホ決済でこのような還元が得られるのであれば、現金などで納付するよりお得ですので、ぜひ活用をおすすめします。ポイント還元は、数百ポイント程度かもしれませんが、毎年続ければ利用しない人との差は確実に広がっていきます。

一方、固定資産税の支払いのためだけにわざわざ無理して電子マネーやスマホ決済を用意する必要はないでしょう。確かに、純粋にポイント面だけでみれば請求書払いで10ポイントがもらえるファミペイが有利かもしれませんが、だからといって毎年固定資産税を支払うためだけにファミペイを用意するのも大変ですし、せっかくのポイントも使いにくくなってしまいます。他の決済でも同様です。普段使いしない決済手段がたくさんあっても、複雑になってしまうだけです。

もちろん「これを機に新たに電子マネーやスマホ決済を使うようにしたい」というのであれば問題ありません。お得な固定資産税の支払い方、ぜひ試してみてくださいね。

執筆:高山 一恵(たかやま かずえ)
(株)Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー

(株)Money&You取締役。中央大学商学部客員講師。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。NHK「日曜討論」「クローズアップ現代」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「マンガと図解 はじめての資産運用」(宝島社)など書籍100冊、累計180万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。

X(旧Twitter):@takayamakazue

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