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2025年路線価で読み解く東京の地価上昇と不動産投資の好機

2025年7月、国税庁より最新の路線価が発表され、東京をはじめ全国的に地価が上昇傾向にあることが明らかになりました。特に台東区浅草や足立区北千住など、観光地や再開発エリアの上昇率が顕著です。

路線価は相続税の基準となるだけでなく、エリア別の不動産価値を測る重要な指標。インバウンド需要や都市再開発が進む今、投資家にとっては資産形成の好機とも言えるでしょう。

本記事では、2025年の路線価データをもとに、東京の地価動向と不動産投資の可能性を読み解きます。

全国の状況は

2025年の路線価は全国約32万地点の平均で前年比約2.7%上昇しました。4年連続の上昇で上昇率は現在の算出法となった10年以降で最高となっています。一口に2.7%と言っても一般の消費者物価と違い桁が大きいのでその影響も大きいです。

都道府県別では35都道府県が前年比上昇となり、前年より6県増えました。全国的に路線価は上昇傾向にあります。

都道府県庁所在地別の最高路線価を見ると、東京・横浜・名古屋・大阪・福岡と大都市の地価が高くなっています。これらのエリアは高い経済成長性との相関関係があると言えます。

◼︎2025年路線価 都道府県別 上昇率ランキング

順位地点上昇率
1東京都8.1%
2沖縄県6.3%
3福岡県6.0%
4大阪府4.4%
4神奈川県4.4%
4宮城県4.4%
<国税庁「令和7年路線価」>

◼︎2025年路線価 都道府県庁所在地別の最高路線価ランキング

順位地点上昇率
1東京都中央区銀座5丁目(銀座中央通り)48,080円/㎡
2大阪府大阪市北区角田町(御堂筋)20,880円/㎡
3神奈川県横浜市西区南幸1丁目(横浜駅西口バスターミナル前通り)17,200円/㎡
4愛知県名古屋市中村区名駅1丁目(名駅通り)12,880円/㎡
5福岡県福岡市中央区天神2丁目(渡辺通り)9,680円/㎡
<国税庁「令和7年路線価」>

全国でも最も上昇率が高かったのは

全国の税務署管内別の最高路線価を見ると、前年からの上昇率が最も高かったのは「長野県白馬村」で32.4%の上昇となりました。スキー場としての人気が高くインバウンドの多く訪れるエリアです。

多くの開発が進み地価が上昇しています。「コートヤード・バイ・マリオット白馬」など高級ホテルもあり、また第二のニセコとも言われる程開発も盛んとなっています。

2位は「北海道富良野市北の峰町」で30.2%の上昇です。富良野は昔からドラマのロケ地としても有名でしたが、北の峰は富良野芦別道立自然公園の一角にありスキーリゾート地として有名です。現在も多くの観光客が訪れるエリアです。

北海道では「「北海道ボールパークFビレッジ」や「ラピダス富良野」を始め多くの施設も開業、さらに札幌などでも再開発計画や札幌までの北海道新幹線計画なども進行しており今後も観光客の増加により発展が見込まれるエリアと言えます。さらに4位は岐阜県高山は江戸時代の街並みの残る観光地です。

訪日外国人数が増加しており、2025年1~6月は過去最速で年2,000万人を超えました。事から観光地の宿泊料金も増加しており、地価にも影響を与えていると考えられます。

東京都の浅草、北千住以外は観光地が占めており、今後のインバウンドの動向によりさらに路線価上昇の可能性も考えられます。

◼︎2025年路線価 税務署管内別 上昇率ランキング

順位地点上昇率
1長野県白馬村32.4%
2北海道富良野市北の峰町30.2%
3東京都台東区浅草29.0%
4岐阜県高山市28.3%
5東京都足立区千住26.0%
<国税庁「令和7年路線価」>

関東地方の路線価の動向

首都圏では東京都以外では神奈川県が前年比4.4%の上昇、千葉県が4.3%、埼玉県が2.1%とそれぞれ上昇となりました。

東京・神奈川の路線価上昇率が高くなっている事が分かります。これは東京・横浜などで再開発が進み就業人口の増加や利便性の上昇が続いている事も要因であると考えられます。

また神奈川県では鎌倉駅東口駅前通り、通称「小町通り」の地点が前年比19.0%と大きく上昇するなど、前年の14.3%の上昇に続きここでも観光地の上昇率の高さが目立ちました。

◼︎2025年路線価 首都圏の路線価 変動率

エリア上昇率
東京都8.1%
神奈川県4.4%
千葉県4.3%
埼玉県2.1%
<国税庁「令和7年路線価」>

東京都の動向 路線価の変動率は

東京都の税務署管内別の最高路線価の上昇率が最も高かったのは2年連続で台東区の浅草一丁目の「雷門通り」の地点となり、前年比29.0%と大きく上昇しました。

雷門は浅草駅から仲見世通り入口を通りつくばエクスプレスの浅草駅方面へ続く商店街です。老舗や新しい店なども混在するエリアです。インバウンドの増加から路線価も上昇しています。

2位は足立区の「北千住駅西口駅前通り」で前年比26.0%の上昇です。

北千住は交通利便性に優れ都心へのアクセスが良好で近年人気が高まっている街です。大学も多くあり、再開発により生活利便性も向上しています。このようなエリアはいわゆる「見直し買い」の動きがあるようです。元々潜在能力が高かったのですが改めてその価値が見直されつつあるという事です。

3位は筆者の事務所のある中野5丁目の「中野駅北口駅前広場前」となりました。中野駅及び中野駅周辺では大規模な再開発が進行しており街が大きく変わってきています。中野駅では女性にも人気の高い「アトレ」が建設中で2026年の開業を予定しています。

また中野サンプラザの建替えは一旦白紙となり現在検討中となっていますが、まだまだ伸びしろを残す事になります。中央線の線路沿いには大型マンションの建設も進んでおり人口の増加も見込まれます。

高円寺や杉並区上荻の青梅街道などの路線価も上昇しており、中野などを含めてこうした「準都心」と言われるエリアの資産価値も高まっています。

◼︎東京都の税務署管内別 路線価上昇率ランキング

順位地名最高路線価の所在地変動率
(2024年)
変動率
(2025年)
1浅草台東区浅草1丁目
(雷門通り)
16.7%29.0%
2足立足立区千住3丁目
(北千住駅西口駅前広場通り)
15.1%26.0%
3中野中野区中野5丁目
(中野駅北口駅前広場前)
13.2%24.7%
4荻窪杉並区上荻1丁目
(青梅街道)
11.0%21.6%
5杉並杉並区高円寺北3丁目
(高円寺駅北口商店街通り)
9.9%20.1%
<国税庁「令和7年分 東京国税局各税務署管内における最高路線価」>

東京都の最高路線価は

東京都で最も路線価の高かったのは中央区銀座の銀座中央通りで4,808万円となりました。前年比で8.7%もの上昇となっています。40年連続で路線価の最高額となり過去最高となっています。

銀座は日本でも最も有名なブランドエリアと言っても過言ではありません。多くのブランドショップなども建ち並び、インバウンドの増加と共に不動産や地価も上昇しています。

2位は渋谷区宇田川町となりました。渋谷駅周辺では「100年に一度」と言われる大規模な再開発が進行し街が大きく変貌してきています。

3位と4位は新宿3丁目、5位は有楽町など都心部の地価が高い事が分かります。

◼︎東京都の税務署管内別の最高路線価ランキング

順位地名最高路線価の所在地最高路線価
(2024年)
最高路線価
(2025年)
1京橋中央区銀座5丁目
(銀座中央通り)
4,424万円4,808万円
2渋谷渋谷区宇田川町
(渋谷駅側通り)
3,224万円3,440万円
3新宿新宿区新宿3丁目
(新宿通り)
3,088万円3,256万円
4四谷新宿区新宿3丁目
(新宿通り)
2,792万円2,920万円
5麹町千代田区有楽町2丁目
(晴海通り)
2,552万円2,680万円
<国税庁「令和7年分 東京国税局各税務署管内における最高路線価」>

まとめ

東京の地価が高い水準を保っている理由としては、日本には約1億2,500万人の人口がありますが、47都道府県分の1である東京に1,400万人以上、つまり全国民の10人に1に以上が東京に居住している事が挙げられます。

また全国の国土面積は約37万8,000キロ㎡ありますが、東京の面積はわずか2,200キロ㎡で国土面積のわずか1%にも満たない0.6%となっています。

さらに国内銀行における貸出残高が約596兆あり東京都の銀行の貸出残高は264兆円と約40%、さらに日本全国には約5,800万人の就業者がある中で、東京都には960万人が集まっています。つまり東京都はとても狭い面積に人やお金が集中しており、それだけ土地の需要、希少性、利用価値が高い事が数字の上からも理解できます。

それに輪をかけてインバウンドや再開発、海外からの投資も含め特に駅に近い土地の価値は今後も高い水準が続く可能性を帯びています。

今後不動産投資をする方の参考になれば幸いです。

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